1.2 誤 差



(3)数値解析における計算上の注意

■整数の桁あふれ

 計算機における整数は,有限の桁からなりますから,

表現できる値には限界があります。

この限界を超えることを
桁あふれといいます。

 ・2バイト整数 -32,768 〜 +32,767
      

 ・4バイト(32ビット)整数  -2,147,483,648 〜 -2,147,483,647
      


■小数(浮動小数点)2進数表現

 浮動小数点数の形式はコンピュータによって異なります。

以下はその1例です。なお,以下の例は4バイト(32ビット)長ですが,

8バイト(64ビット:倍精度)長もあります。

    

符号 : 0のとき非負,1のとき負
指数(n) : 2の補数表現(先頭ビットは符号)
仮数(α) : 絶対値 1≦α<1



 
たとえば,
  
ですから,2進数表記すると

    0 000 0000 1101 1000 0000 0000 0000 0000

16進数で表記すれば,00 D8 00 00 となります。


■桁落ち(loss of significant digits)

 理解しやすくするため,10進数で例を示します。

   a = 0.123456,b = 0.123455 →  c = a - b = 0.00001

  a, bは有効数字6桁ですが, cの有効数字が1桁になってしまいます。


■丸め誤差(round-off error)

 理解しやすくするため,10進数で例を示します。

    a = 12.3456789,b = 12.3456666
    c = a - b = 0.0000123
    x = 0.123 / c = 10000

ここで,小数点以下4桁までとして四捨五入すると

    a = 12.3457,b = 12.3457
    c = a - b = 0
    x = 0.123 / C = ∞ (ゼロ割)



■打切り誤差

 テーラー展開等で関数値を求める際,無限に計算することができないので,

途中で計算を打ち切らざるをえません。これによる誤差を打切り誤差といいます。