 
(4)検討例
数値解析にあたって検討した例を示します。
この例は,降雨による地表流,地下水流のシミュレーションにおける
有限差分方程式の検討例です。
流体の微分方程式,

の通常の差分近似式は,

です。一方,Δt は,前提として微小時間ですが,
我々に与えられる雨量データは時間雨量です。
しかし,Δt として,時間単位/分単位を与えると,
加速度項が大きすぎて,
1時間刻みで1メッシュを超える速度になってしまいます。
これでは,差分方程式自体が成立しなくなります。
人工項としての動粘性抵抗を導入したり,
風上差分を適用しても,極めて大きな値になってしまいます。
一方,地下水流と地表水流においては,
水深あるいは地下水位の勾配の時間変化は
地形の勾配に比べてわずかであるという特徴があります。このことは,
■水深の時間変化に比べ,地形上の勾配の方が非常に大きい。
■∂h/∂x の時間変化はわずかであり,無視できる。
とまとめることができます。すなわち,

とすることができます。
■新たな近似式の導入

■地下水流についての補足
地下水流については,以下のように考えることができます。
(a) 地下水における基礎方程式は,
Darcyの法則を適用すれば,より単純な式となります。
(b) 地表流と同様の近似式を導くことが可能である。
■シミュレーションの実行条件
画面表示をはっきりさせるために,極端な例を示します。
すなわち,時間雨量50mmを600分+180(13時間降らせてみたら)という
条件で実行してみます。

実行画面の例を以下に示します。

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