1.3 数値解析の手法



(4)検討例

 数値解析にあたって検討した例を示します。
この例は,降雨による地表流,地下水流のシミュレーションにおける
有限差分方程式の検討例です。

 流体の微分方程式,

  

の通常の差分近似式は,

    

です。一方,Δt は,前提として
微小時間ですが,

我々に与えられる雨量データは
時間雨量です。


しかし,Δt として,時間単位/分単位を与えると,

加速度項が大きすぎて,

1時間刻みで1メッシュを超える速度になってしまいます。

これでは,差分方程式自体が成立しなくなります。


 人工項としての動粘性抵抗を導入したり,

風上差分を適用しても,極めて大きな値になってしまいます。


 一方,地下水流と地表水流においては,

水深あるいは地下水位の
勾配の時間変化

地形の勾配に比べてわずかであるという特徴があります。このことは,


 ■水深の時間変化に比べ,
地形上の勾配の方が非常に大きい

 ■
∂h/∂x の時間変化はわずかであり,無視できる。


とまとめることができます。すなわち,

とすることができます。

■新たな近似式の導入



■地下水流についての補足

 
地下水流については,以下のように考えることができます。

(a) 地下水における基礎方程式は,

  
Darcyの法則を適用すれば,より単純な式となります。

(b)
地表流と同様の近似式を導くことが可能である。


■シミュレーションの実行条件

 
画面表示をはっきりさせるために,極端な例を示します。

すなわち,時間雨量50mmを600分+180(13時間降らせてみたら)という

条件で実行してみます。

     

実行画面の例を以下に示します。