1.2 誤 差



(6)モデル化による誤差

■誤差の評価

 ここでは,差分近似における数値拡散の例を取り上げます。

たとえば,流れによる輸送方程式において,


差分近似すると,

 
(注)以下,式の展開が苦手な人は,関数の2次の項まで
   テーラー展開した式を最初の式に代入すると,
   元の式になかった項が現れるということを理解しましょう。
   以下は,その理由付けです。


 


  
     

■誤差の解釈


 元の式と比べてみると,差分で近似した結果,

本来の数式や現象になかった項があたかも存在するかのように

現れています。すなわち,有限の時間間隔,有限の区間の差分で

近似すると,2階微分の項が付加されることになります。

 この項を
拡散項といいます。この項は,

  運動量の場合→粘性係数
  熱量の場合 →熱伝導係数
  物質の場合 →拡散係数

等に相当する量です。

 なお,拡散項は, 数値解析の都合上出てくる量であり,

物理的に存在する量ではないことに注意して下さい。