  
(6)モデル化による誤差
■誤差の評価
ここでは,差分近似における数値拡散の例を取り上げます。
たとえば,流れによる輸送方程式において,

差分近似すると,

(注)以下,式の展開が苦手な人は,関数の2次の項まで
テーラー展開した式を最初の式に代入すると,
元の式になかった項が現れるということを理解しましょう。
以下は,その理由付けです。

■誤差の解釈
元の式と比べてみると,差分で近似した結果,
本来の数式や現象になかった項があたかも存在するかのように
現れています。すなわち,有限の時間間隔,有限の区間の差分で
近似すると,2階微分の項が付加されることになります。
この項を拡散項といいます。この項は,
運動量の場合→粘性係数
熱量の場合 →熱伝導係数
物質の場合 →拡散係数
等に相当する量です。
なお,拡散項は, 数値解析の都合上出てくる量であり,
物理的に存在する量ではないことに注意して下さい。
|